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" 一 肢 不 満 足 "

1.乙武青年
2.ダーウインの淘汰説
3.障害者への視線
4.特徴と言えない現実



1.乙武青年
  「五体不満足」を読んだ。   著者の前向きの考え方に圧倒される思いで一気に読み終えてしまった。   私はこれまでこのような類の著書は読む前から抵抗感があり、読んだことがなかった。   彼が早稲田大学を卒業するテレビのシーンを見て、屈託のない明るい顔があまりに印象   的で、つい本屋で買ってしまった。   読んでいる途中目頭が熱くなるところもあったが、本当にこんなに深刻にならずにおお   らかに生きてきたのだろうか?わが身と比較して人間性で圧倒的に優れている乙武青年   に畏怖の念さえ覚えた。   私は2,3歳の頃右足の大腿部の筋肉が1本足りない程度の軽症の小児麻痺にかかった。   せいぜい一肢不満足とも言えない程度の障害である。   そんな軽い障害でも私にとってはかなり大きな影響があり、いまだにその影響を完全に   払拭できたとは言うことが出来ない。   乙武青年の底抜けの明るさ、人間への信頼感、現実の受容、両親の教育、どれをとって   も圧倒的で我が身の矮小さを感じずにはいられなかった。

2.ダーウインの淘汰説   障害者に対する健常者の既成概念は、ダーウインの淘汰説に影響されている所が大きい   と私は思う。つい最近改正された優生保護法などはその典型であろう。   適者生存というときの適者とは、他者との競争に負けない能力を持つものであり、弱肉   強食の論理である。スポーツの世界で良く使われる「優勝劣敗」という概念も、最初から   障害者は念頭にはない。[健全な精神は健全な身体に宿る]というスローガンも然り。   私は子供時代、このような概念に一々ぶっつかっていった。   何故私は「劣」なのか?、私には「健全な精神」は宿らないのか?小児マヒに罹ったの    は「悪」なのか?フツフツとした反抗心で一杯だった。   また、私の周囲にいた仲間たちもこの本に出てくるような良い人ばかりではなかった。   むしろ「チンバ、チンバ」と囃し立て、時には石を投げつけてくることもあった。   私はこれが現実に近いような気がする。私にこのような対応をした人がむしろ普通で、   特別変わった人でもないと思う。大人になればストレートに出ないだけで、本質的には   何も変わらないのではないかと思う。   この本でもいわゆる「不良」が優しい心根を持っていることを紹介しているが、私が小   学校4,5年の頃、少年院の経験がある「不良」がとても優しくしてくれ、私の代わり   にあだ討ちをしてくれたことを思い出した。   ともかく私は乙武青年とは違い「眼には眼を」「歯には歯を」の精神で、イジメた奴に   あらゆる手段を講じて報復することに専心した。   木に逆さ吊りされるなど、今思うとかなり過激なこともやられたが、必ず徹底的に復讐   するというのが私流のやり方だった。   乙武さんと似ているのは両親が特別扱いをしなかった点で、このおかげで私も深刻にな   ることがあまりありませんでした。     

3.障害者への視線   「かわいそうな人」という健常者の受け取り方について、彼は持ち前の健康的なアグレ   ッシブな考え方で対処しています。   私はこの彼の考え方には全面的に賛同します。   何がいやだったか、運動会の時、走る前から最下位が分かって走って、ゴールしたとき   「良く走ったエライ」と言って人前で抱きしめてくれた先生。   こんな優しい先生を私は拒絶することしか出来なかった。   それに、私自身、例えば重度心身障害者施設で障害者に対面したとき、未だに恐怖感と   ある種の嫌悪感を持ってしまう自分がそこにあるのを如何ともし難いというのが現実で   す。   よだれを垂らし、手足が引きつり、言葉も満足に発せない彼らを目の当たりにすると私   は今でも眼を覆いたくなってしまうのです。   乙武さんは、頭脳も表情もすばらしく、嫌悪感を与えません。この違いがものすごく大   きく、私には克服できないのです。   これが彼らの特徴というには、抵抗がありすぎて直視できないのですが・・・

4.特徴と言えない現実   身体の機能が欠損しているだけの障害と、知能や視覚的に異常感を与える障害では、受   け取る人にとって質的に大きな違いがあるのではないかと私は思う。   彼らに対しても分け隔てなく献身的な介護をされている方々に対し、今の社会は余りに   低い評価しかしていないのではないか。   彼らは介護を必要とする特徴を持っている。それに対し介護を当たり前に提供し、社会   的に認知する環境は未だ整っていない。   乙武青年が早稲田を卒業し、政治の世界や、市民運動の分野で活躍しこのような現実を   快刀乱麻で切り開いてくれるよう期待したい。オト頑張れ!