駒込プリズン日記B

(仕切り直しの食道がん治療の記録)

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妄想録A
抗がん剤治療に掛かる日数と体調
FAP療法は月曜から金曜までの5日間だが、前処置3日、FAP療法後4日間、栄養剤や水分
補給の点滴、白血球減少への対処などが行われ、退院できるまでに2週間を要する。
それからまた2週間を置いて、抗がん剤治療の効果を確かめるためのCTや内視鏡検査を
行うための入院があり、再度入院しなおして次のステップの治療を受ける。
何度も入退院を繰り返すことになるが、体調としては抗がん剤の副作用が出ている間だけ
それほどひどくはない倦怠感、脱力感、下痢、口内炎があるが、退院すれば体調はすぐ戻
る。厄介なのは点滴につながれている間自由に動けないことだ。特に、電動式の自動輸液
ポンプを使っている間は電源コードに繋がれるため僅かな時間しか動けないのだ。
この心理的拘束感はかなり鬱陶しく、1日の時間がやたらに長く感じる。そのくせ何もし
たくなくなるので、益々厄介である。とにかくこれだけで充分に疲れる。

第2回目の抗がん剤治療
第1回目の抗がん剤治療終了後、1月15日に退院し、29日に再入院、抗がん剤治療の
効果を判定する検査を受けた。内視鏡検査では、それまで素人目にも醜悪にへばりついて
いた腫瘍の塊が見事に消滅して、小さなイボ状の塊が見られるだけになっていた。
CT検査でも特に異常な集積は見られないということで、先生も予想外だと言われるほど
改善されていた。(少なくとも私はそう思った)
この結果、予定していた手術は先延ばしになり、抗がん剤で徹底的に小さくしようという
ことで第2回目の抗がん剤治療が行われることになった。
その抗がん剤治療は、入院患者個々の都合で開始時期をずらすと管理が大変になるとかで
2日に一旦退院し、6日に入院、翌週の9日(月)より第2回目のスタートという事にな
った。その後5日間のFAP治療を受け、経過観察後19日に退院した。

13階と12階

第1回目は13階の病棟で治療を受けたが、第2回目は12階で受けることになった。
面白いことに13階と12階では色々な面でシステムが微妙に違うのである。
些細なことでは入浴の予約方法や、体温や排便などの記録をつける用紙のフォーマットが
違い、食事量の記載方法も違うのである。患者にとって大きな違いは、点滴の方法である。
13階では全て自然落下方式の点滴だったが、12階ではFAP療法中は電動式の自動輸
液ポンプを使う点である。この自動輸液ポンプ装置がお粗末なつくりで、頻繁にエラーが
発生しアラームが鳴る。多いのは輸液の落下を検知できない、輸液に気泡が発生したとい
うエラーだ。全く安静にしているときでも原因不明でアラームが鳴る。この装置は信頼性
から見ると市場に出せるレベルではないと感じる。
本人もイライラするが周りの患者にも迷惑が及ぶ。とくに就寝中アラームが鳴ると、腹が
立つと同時に申し訳なく思う。困るのは耳が悪い高齢者だ。本人はアイマスクをして寝て
おり、全く気付かないためアラームが鳴り続けることになる。代わりにナースコールを掛
けなければこちらが眠ることさえ出来ない。

しかし、フロワー全体としては12階のほうが雰囲気として明るく、患者同士のコミュニ
ケーションも良い。13階は名前の通り陰鬱である。
同じ病院で何故これほど違うのか、不思議なことである。

体調の違い

第1回目の抗がん剤治療では、白血球数は2400まで下がったが、第2回目ではこれが1900
になった。白血球数を上げる注射を3回やったらこんどは19,500まで急上昇した。
(正常値は3700から8300の間)
血糖値も最高135まで上がったがすぐに正常値に戻った。(正常値は60から100の間)
口内炎や下痢は第1回目ではなかったが、第2回目ではひどくはないものの悩まされた。
ただ、覚悟していたほど副作用の辛さはなく、制吐剤の効果か、吐き気もなかった。
髪の毛もかなり薄くなったが、まだ結構残っている。ただ外に出ると頭がスウスウする。
問題なのは、体調の悪さより精神的な不快さのほうである。
点滴で自由を奪われると、こんなに不自由でイラつくものだとは思わなかった。リュック
など体に密着するものに輸液パックを入れるなど、自由度を増す方法はないものか、改善
して欲しいと切実に思った。

病院食

入院すると、主食が突然お粥になる。それまで全く普通の食事をしていたのにである。
解せないのは、おかずは普通食とまったく同じなのである。ご飯をお粥にしなければなら
ない理由が全く分からない。抗がん剤治療中は完全絶食であるが、おなかの調子に関わり
なくその後もお粥しかでなかった。たまりかねて普通食にしてくれと要求したらすぐ切り
替わった。
この病院のメニューは総じて煮しめが多く、味も単調で食欲をそそるという訳にはいかな
かったが、1日のカロリーが1600kcal以下しかなく、腹が減るので全部食べることができ
る。ちなみに点滴はメインの栄養剤だけで1600kcal以上あり、それ以外の点滴を加えると
2000kcal程になり、体重は減るどころかむしろ増えてしまった。
完全絶食中でも点滴のおかげで空腹感もないが、生活のリズムがなくなり、時間の経過が
やたら遅く感じるのが辛い点である。

更なる臨床試験を求めて

取り得る選択肢が手術しかないことが分かっても、往生際が悪く、新しい臨床試験の情報
を求め「登録・公開された全臨床試験の一覧」という検索サイトで食道がんに関するもの
をピックアップしてみた。

その結果
・東京大学 食道癌に対する活性化自己γδT細胞治療の有効性および安全性に関する研究
・三重大学大学院医学系研究科
進行・再発悪性腫瘍に対する化学療法後の培養Tリンパ球輸注・MAGE-A4ペプチド投与による
免疫治療臨床研究
・東京大学医科学研究所
進行食道癌に対する新規癌関連抗原遺伝子TTK由来HLA-A24拘束性エピトープペプチドを用い
た腫瘍特異的ワクチン療法 
が見つかり、一番可能性のありそうなγδT細胞治療が受けられないか問い合わせてみた。

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Subject: 食道癌に対する活性化自己γδT細胞治療の臨床研究への応募について(お
伺い)2009/02/20 (金) 12:05

垣見 和宏 先生
UMIN-CTR 試験情報を拝見し臨床研究への応募が可能か確認いたしたくメールを差
し上げます吉田 耕治と申します。

私は2008年6月10日人間ドックで食道がんが見つかり、独立行政法人放射線
医学総合研究所重粒子医科学センター病院で、「臨床病期I期胸部食道癌に対する炭
素イオン線治療の第I/II相臨床試験」に応募し、7月22日に入院し重粒子線治療
を受け8月19日に退院しました。
この間の経緯は、下記小生のHPをご覧いただければ幸いです。
http://www.yoshidak.com/esophagus/esophagus1.html#1-01

12月9日、治療後第3回目の検査でviableな扁平上皮癌が残存していることが分か
り、12月24日に都立駒込病院に入院し、現在抗がん剤治療(FAP療法)の第2
クールが2月19日に終わり、仮退院しています。
第1クールの治療終了後の内視鏡検査では腫瘍が大幅に縮小し、主治医も想定外の効
果があり、第2クールの抗がん剤治療を受けることになった次第です。

現在の予定では、3月4日に再度入院し内視鏡検査やCTの結果で今後の治療方針が
固まる予定です。
主治医の出江(いずみ)先生のお話では手術に優る治療法はないとのことで、抗がん
剤治療で叩けるだけたたいて手術をするということです。

私は、発病以来自分で出来る限り情報収集し、侵襲性の高い手術を避けてきましたが
現在では手術も止むなしと覚悟は出来ています。
しかし、第1クールの治療後の内視鏡検査やCT検査の結果を見て,手術以外の選択
肢が本当にないのか、またγδT細胞治療の臨床研究へ応募できないか垣見先生のご
見解を賜りたくメールを差し上げた次第です。

UMIN-CTRの試験情報は本日知ったばかりですので出江先生には、この件はまだ相談し
ていません。(都立駒込病院食道外科医長 出江洋介先生03-3823-2101)

ご多用の折、恐縮ですが垣見先生のご見解をご教示賜りたくお願い申し上げます。

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驚くほど早く、垣見先生から返信メールを頂いた。

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吉田 耕治様 2009/02/20 (金) 13:23

メール並びにHP上での闘病記録を拝見いたしました。
現在東大病院胃食道外科との共同で臨床研究を実施しております。標準的な治療法が
なくなった方を臨床研究の対象にするようにとの条件で倫理委員会から臨床研究の実
施を承認されています。

一般的に、臨床研究は、目の前の患者さんのためではなく、将来の不特定多数の患者
さまのために実施しているものなので、治療を受けていただく目の前の患者さんに対
しては十分な対応をすることができないこともあり、もどかしい思いをしています。
吉田さんのメールからは、現在は標準治療の中にもまだ複数の選択肢があるような印
象を受けました。吉田さんの場合は、γδT細胞治療の臨床研究の対象にはまだ早い
と思います。せっかくメールを頂いたのに、何の役にも立てず申し訳ありません。主
治医の先生と相談され、納得される治療を受けていただけることを希望しておりま
す。

東大病院 垣見和宏
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臨床研究は、目の前の患者さんのためではないという文面に一律の規制の融通性のなさ
を感じたが、如何ともなす術がないと納得させるしかなかった。
臨床試験を無制限に許すべきではないとは思うが、患者の選択肢をもっと広げても良い
のではないかと思った。

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